お気に入りのセーターを想像してください。
その裾を、ぐっとつまんで引っ張ったとします。
どうなりますか?
裾だけが伸びるわけではありません。肩のあたりまで、全体が引っ張られる。 生地の編み目が一つひとつつながっているから、一箇所の引っ張りが全体に伝わるのです。
体もこれと似ています。
体の中には「筋膜(きんまく)」という薄い膜があります。筋肉を包んでいる膜ですが、実はこれ、筋肉だけを包んでいるのではなく、骨も、内臓も、血管も、神経も——すべてをつなげている、一枚のつながった膜なのです。
セーターの編み目のように、体の中のすべては、この膜を通じてつながっています。
だから、足首をひねったことが肩に影響することがある。おなかの手術の痕が、腰の痛みに関係していることがある。
体にはバラバラの「パーツ」はない。すべてはつながっている。
これが、私たちの体の見方の出発点です。
セーターの話をもう少し続けます。
セーターには「編み目」が全体に広がっていますが、その中に特に大事な「芯」のような部分があるとしたら?
体にも、そういう「芯」があります。
頭蓋骨、背骨、仙骨(お尻の三角の骨)、尾骨。
この4つが一本の軸でつながっていて、体の中心を貫いています。私たちはこれを、体の**「柱」**と呼んでいます。
この柱は、ただ体を支えているだけではありません。
その中を、大切なものが通っています。脊髄——脳と体をつなぐ神経の太い束。そしてその周りを流れる脳脊髄液——第3章でお話しする「透明な川」です。