2-1 セーターの一箇所を引っ張ると

お気に入りのセーターを想像してください。

その裾を、ぐっとつまんで引っ張ったとします。

どうなりますか?

裾だけが伸びるわけではありません。肩のあたりまで、全体が引っ張られる。 生地の編み目が一つひとつつながっているから、一箇所の引っ張りが全体に伝わるのです。

体もこれと似ています。

体の中には「筋膜(きんまく)」という薄い膜があります。筋肉を包んでいる膜ですが、実はこれ、筋肉だけを包んでいるのではなく、骨も、内臓も、血管も、神経も——すべてをつなげている、一枚のつながった膜なのです。

セーターの編み目のように、体の中のすべては、この膜を通じてつながっています。

だから、足首をひねったことが肩に影響することがある。おなかの手術の痕が、腰の痛みに関係していることがある。

体にはバラバラの「パーツ」はない。すべてはつながっている。

これが、私たちの体の見方の出発点です。


2-2 頭からしっぽまで——体の「柱」の話

セーターの話をもう少し続けます。

セーターには「編み目」が全体に広がっていますが、その中に特に大事な「芯」のような部分があるとしたら?

体にも、そういう「芯」があります。

頭蓋骨、背骨、仙骨(お尻の三角の骨)、尾骨。

この4つが一本の軸でつながっていて、体の中心を貫いています。私たちはこれを、体の**「柱」**と呼んでいます。

この柱は、ただ体を支えているだけではありません。

その中を、大切なものが通っています。脊髄——脳と体をつなぐ神経の太い束。そしてその周りを流れる脳脊髄液——第3章でお話しする「透明な川」です。