この章は、すこし専門的な話が出てきます。興味のある方はじっくり読んでください。「まあいいか」という方は、第5章に飛んでもらっても大丈夫です。

4-1 頭は「一枚岩」じゃない

頭蓋骨と聞くと、ヘルメットのような一枚の硬い殻を想像するかもしれません。

でも実は、頭蓋骨は22個の骨が組み合わさってできています。

ジグソーパズルのように、たくさんのピースが噛み合って一つの形を作っている。そして、このピースとピースの継ぎ目は——完全に固まっているわけではありません。ほんのわずかですが、動きがあります

「え、頭の骨が動くの?」

驚く方がほとんどです。でも、考えてみれば理にかなっています。

もし頭蓋骨が完全に固まった一枚岩だったら、中の圧力が変わったときに逃げ場がない。赤ちゃんが産道を通るときも、頭の骨が重なり合って形を変えるから通れるのです。

頭蓋骨には、ほんの少しの「遊び」がある。 その「遊び」が、中にある脳を守っている。

でも、この「遊び」が失われることがあります。


4-2 頭をぶつけたことはありますか?

子どもの頃、頭をぶつけたことはありませんか?

鉄棒から落ちた。ドアにぶつけた。スポーツで頭を打った。

たいていの場合、しばらく痛くて、たんこぶができて、数日で忘れてしまいます。

外から見えるたんこぶは消えます。でも、頭蓋骨のピースの噛み合わせに、微妙なずれが残ることがある。

このずれはレントゲンには映りません。本人も気づいていません。でも、ピースの噛み合わせがわずかに変わると、頭蓋骨全体の「遊び」が変わるのです。

「遊び」が変われば、中の環境が変わる。

第3章でお話しした「透明な川」——脳脊髄液の流れが、変わる可能性がある。

頭が重い。なんとなくすっきりしない。眠りが浅い。集中力が続かない。——こういった不調の背景に、何年も前の頭の打撲が関わっていることがあるのです。