この章は、すこし専門的な話が出てきます。興味のある方はじっくり読んでください。「まあいいか」という方は、第5章に飛んでもらっても大丈夫です。
頭蓋骨と聞くと、ヘルメットのような一枚の硬い殻を想像するかもしれません。
でも実は、頭蓋骨は22個の骨が組み合わさってできています。
ジグソーパズルのように、たくさんのピースが噛み合って一つの形を作っている。そして、このピースとピースの継ぎ目は——完全に固まっているわけではありません。ほんのわずかですが、動きがあります。
「え、頭の骨が動くの?」
驚く方がほとんどです。でも、考えてみれば理にかなっています。
もし頭蓋骨が完全に固まった一枚岩だったら、中の圧力が変わったときに逃げ場がない。赤ちゃんが産道を通るときも、頭の骨が重なり合って形を変えるから通れるのです。
頭蓋骨には、ほんの少しの「遊び」がある。 その「遊び」が、中にある脳を守っている。
でも、この「遊び」が失われることがあります。
子どもの頃、頭をぶつけたことはありませんか?
鉄棒から落ちた。ドアにぶつけた。スポーツで頭を打った。
たいていの場合、しばらく痛くて、たんこぶができて、数日で忘れてしまいます。
外から見えるたんこぶは消えます。でも、頭蓋骨のピースの噛み合わせに、微妙なずれが残ることがある。
このずれはレントゲンには映りません。本人も気づいていません。でも、ピースの噛み合わせがわずかに変わると、頭蓋骨全体の「遊び」が変わるのです。
「遊び」が変われば、中の環境が変わる。
第3章でお話しした「透明な川」——脳脊髄液の流れが、変わる可能性がある。
頭が重い。なんとなくすっきりしない。眠りが浅い。集中力が続かない。——こういった不調の背景に、何年も前の頭の打撲が関わっていることがあるのです。